WORLD HERITAGE IN AUSTRALIA

現在、オーストラリア国内には16の世界遺産があります。
大自然の中にある自然遺産、文化遺産をぜひ体感してみて下さい。

Kakadu National Park 〜カカドゥ国立公園〜

動植物の驚くべき宝庫であるカカドゥ国立公園は、1,975,500ヘクタールにも及ぶ広大な公園です。
約1,500種の植物、280種類の鳥類、123種の爬虫類(巨大で危険なイリエワニもいます)、50種の在来哺乳類、30種の両生類、77種の淡水魚、1万種の昆虫類が棲息しています。

又、先住民であるアボリジニも少なくとも2万5千年以上の間、カカドゥに棲み続けていることから、この公園は、文化遺産と自然遺産の両方に登録されている世界でも希少な世界遺産です。

長さや難易度の異なる様々なトレッキングコースがあり、森や草の茂った野原、湿原、モンスーン雨林、砂岩大地の中を散策できます。又、公園内にある遺跡や岩絵は、古代重要性の点で南ヨーロッパ先史時代の遺跡と肩を並べるほどのものもあり、世界最古の磨製石斧が発掘されたのもここカカドゥです。

観光シーズンは5月〜9月で、4月〜11月は乾期にあたります。公園内にはホテルやキャンプ場もあり、世界遺産の公園近くに宿泊することもできます。



Uluru-Kata Tjuta National Park 〜ウルル・カタ・ジュタ国立公園〜

ウルル(エアーズロック)とカタ・ジュタ(マウント・オルガ)の2つの岩山がそびえ立つのがこの国立公園で、アボリジニのアナヌー族(ピチャンチャチャラ族とヤンクンチャチャラ族)により所有されています。


ウルル(エアーズロック)は赤い砂岩でできた一枚板で、ふもとにはいくつもの洞窟があり、太古のアボリジニが描いた壁画があります。
ウルル(エアーズロック)には登ることができ、天気がいい日には岩の頂上から壮大な景色を楽しむ事ができますが、道のりは険しく、管理当局の許可が降りた時だけ登る事ができます。この地域を
先祖伝来のものとし聖なる岩とあがめているアボリジニの人々は、旅行者にはアボリジニの文化を尊重し、岩に登ることを控える事を望んでいます。
ウルル(エアーズロック)の近くには、36個の急斜面のドーム状の奇岩群からなるカタ・ジュタ(マウント・オルガ)あります。ここの風変わりな岩の形、洞窟、渓谷はウルル(エアーズロック)より記憶に残るという人もいます。


Queensland Wet Tropics 〜クイーンズランド湿潤熱帯地域〜

世界で最も古い熱帯雨林と評されている世界遺産で、地球の進化と歴史における重要な段階を物語る生きた証があるとともに、古代の顕花植物が世界で最も多く存在している湿潤熱帯地域です。

ここはとても不思議な場所で、古代の熱帯雨林が海にまでせり出し、グレート・バリア・リーフの珊瑚礁にまで達しています。

そして豊かな熱帯植物が、流れの速い川や深い谷、滝などの岸辺にひしめきあって生育しています。樹木の間を縫って軽やかに舞うのは数百匹の蝶で、大きさや色鮮やかさは鳥と見まがうばかりのものもあります。カエル、コウモリ、ヘビをはじめとする多くの生物がこの生気みなぎる森を作り上げています。

またこの地域には、20以上のアボリジニの部族が、先祖伝来のしきたりを守りながら、この熱帯湿潤地域やその周縁に暮らし、いまなお熱帯雨文化を後世に口承しています。
様々なウォーキングツアーが用意されており、昼も夜も楽しむ事が出来ますが、特に夜の動物観察はお勧めです。


The Great Barrier Reef 〜グレート・バリア・リーフ〜

グレート・バリア・リーフは2,900の珊瑚礁と多くの島々で構成され、北はクックタウンから南はバンダバーグまで、全長2,300kmにおよびます。
グレート・バリア・リーフは数十万年の進化を経て成熟した生態系であり、世界の自然遺産の中でもとりわけ大切なものとされています。そしてその壊れやすさもこの上ありません。

個々の珊瑚礁は珊瑚の死骸が積み重なることで形成され、その表面には海洋植物や動物が暮らしています。まるで水中のジャングルのように、珊瑚礁は暖かい熱帯の海に生い茂り、400種の海綿、360種の珊瑚、4,000種の軟体動物、1,500種の魚など多種多様な生命を育んでいます。

珊瑚礁は、絶滅危惧種であるジュゴンの生息地、ザトウクジラの子育ての場、ミドリウミガメとアカウミガメの産卵場所というように、様々な生物の生息地となっています。
グレート・バリア・リーフではスキューバ・ダイビング、シー・カヤック、海中散歩、シュノーケリング、クルージングなど様々なアクティビティを楽しむ事ができます。
また、海洋生物学者と一緒にグレート・バリア・リーフを探索し、自然について学べるツアーもあります。


Fraser Island 〜フレーザー島〜

1992年に世界遺産に登録されたクイーンズランド州南東部の沿岸に沿って延びる世界最大級の砂の島です。
目を見張る色彩の砂の崖と壮観な砂丘が、何にも遮られることなくどこまでも続く浜辺に寄り添うように連なっています。海抜200m以上の砂丘に多雨林が生育しているのは世界中でこの島だけです。

40もの高地砂丘湖があり、世界で存在が確認されているこの種の湖の半
数がこの島に集中しています。また、砂丘が移動するときに海水の流れがせき止められてできた潟湖や、地面の陥没により地下水面の一部が露呈している「ウインドウ」レイクがいくつもあります。

この島を形成する膨大な砂の堆積物は、過去70万年以上の間に生じた気候の変動や海水面の変化をありのままに残し、考古学上や社会上、またアボリジニの信仰上、意味のある場所が数多く存在します。貝塚や工芸品、魚獲りの仕掛け、傷をつけられた木や野営地などに、先住民族の生活を垣間見る事ができます。


Central Eastern Rainforest Reserves in Australia 
〜オーストラリア中東部の多雨林保護区群〜

オーストラリア中東部の多雨林保護区群は1986年に世界遺産として登録され、1994年に拡張されました。クイーンズランド州南東部とニュー・サウス・ウェールズ州北東部の50を超える自然保護区からなります。

亜熱帯、乾燥、温帯、寒帯という4種類の多雨林が植生しており、石炭紀から存在する最古のシダ類の数種もこの地域で見ることができます。
また、ゴンドワナ南方古大陸の分裂期にまで辿ることのできる古い系統に由来する脊椎動物、無脊椎動物の残存種を目にすることもできます。

ビジターセンターや難易度別のウォーキング・トレイルがあり、多雨林やどこまでも続くきれいな浜辺、滝、澄み切った川など保護区内の多種多様な場所を散策することができます。


Willandra Lakes 〜ウィランドラ湖水地方〜

1981年に世界遺産に登録されたウィランドラ湖水地方、ニュー・サウス・ウェールズ州の南西端、マレー・ベイスンの潤乾燥地帯にあり、総面積は370,000ヘクタールにおよんでいます。
潤乾燥地帯の常態として、植生はほとんど認められませんが、わずかに存在する植物は地形を安定させ、堆積層や、多くの野生動物の生活を維持するのに重要な役割を果たしています。
湖群では、過去200万年以上をかけて形成された更新世の湖水群が見られます。常に一定の方角から吹く風により作られた砂丘や三日月形の隆起物が東野湖岸の大半をふちどっています。
骨の一部や石器、古代の炉辺や貝塚が発見され、約4万年前にこの地に現生人類(ホモサピエンス)が暮らしていたことが分かります。
1968年に行われた発掘調査では、マンゴ湖の砂丘で火葬された2万6千年前の女性の骨が発見されており、世界で最も古い火葬場であったと考えられています。
世界遺産指定区域の大部分は放牧業者により分割所有されていますが、約30,000ヘクタールはマンゴ国立公園として一般に開放されています。


Lord Howe Island group 〜ロード・ハウ諸島〜

地上の楽園」と呼ばれるロード・ハウ島、アドミラルティ島、アトンバード島、マトンバード島、ボールズ・ピラミッド、およびこれらの島々を取り巻く珊瑚礁や海洋環境で構成されているロード・ハウ諸島は1982年に世界遺産に登録されました。

ロード・ハウ島は、標高875mのゴウアー山と、標高777mのリッジバード山の2つの火山が海面にそびえ立ち、まさに壮観な姿をしています。島の中央部は低く平らで隣接する山や北川の丘陵地帯と見事なコントラストを見せています。

241種の植物が自生し、そのうちの105種はロード・ハウ島固有のものです。島のほとんどは多雨林とヤシの森に覆われていますが、ロード・ハウ島の拓けた地帯やその沖合いの島々には草地も見られます。
諸島には多種多様な海鳥が営巣しており、少なくとも168種がここに生息するか、あるいはここを訪れていることが確認されています。そのうちの多くは希少種か絶滅危惧種です。




Blue Mountains 〜ブルー・マウンテンズ国立公園〜

ブルー・マウンテンズは、ブルー・マウンテンズ、ウォレミー、イェンゴ、ナッタイ、カナングラ・ボーイド、ガーデンズ・オブ・ストーン、サールメア・レイクスとジェノラン鍾乳洞自然保護区から構成された2000年11月に世界遺産に登録された国立公園です。
この地域が世界遺産に選ばれた理由でもある「植物が自生し動物が生息する世界でも抜きん出た多様な生態系」を持ち、そこには地球上に現存するユーカリ種の90種もが自生しています。ごつごつした台地と深い谷を覆うユーカリの大森林から細かい油分の粒子が大気中に放たれ、これが明るい日差しに作用して、この地を有名にしている青い霧が生まれます。
ブルー・マウンテンズ地域は、100万ヘクタールの広大な土地にごつごつした台地と切り立った断崖、深く人を寄せ付けない峡谷、そして生命に溢れる沼地が広がっています。この地はまた、最近発見された、恐竜時代にまでさかのぼる生きた化石、ウォレミマツの自生する場所でもあります。
またこの公園は、シドニーの西、車で2時間の距離にあり、車でも鉄道でも行きやすい場所です。ブッシュウォーク、登山、洞窟巡り、キャにオニング、崖下り、乗馬、野生探検、散策などの色々なアクティビティもあり、大自然を満喫できます。



Tasmania Wilderness 〜タスマニア原生地域〜

1982年と1989年の2度に渡って段階的に世界遺産に登録されたタスマニア原生地域は、オーストラリア最大の自然保護区の1つであり、島であるタスマニア州のおよそ20%を占めています。
広大なタスマニ
ア原生地域の中でも有名な場所としては、クレイドル・マウンテン/セント・クレア湖国立公園、フランクリン・ゴードン渓流国立公園、サウスウエスト国立公園などがあります。

この世界遺産地域には、あらゆる地質年代の岩石が存在し、最も古い岩は約11億年前の先カンブリア紀のものといわれています。考古学調査が内陸部にある多数の峡谷で行われ、40以上の洞窟が発見され、3万年以上前には人類が住んでいたこともわかっています。

また、アルプス山麓の植物、ボタン草湿原、ブラックウッドの湿地、多雨林やユーカリの生い茂る森など豊富な植生が見られ、世界最高齢の樹木のいくつかはこのタスマニア原生地域に自生し、ヒューオン・パインのように寿命が2千年を超える樹もあります。またこの地域は、オーストラリア本土では絶滅種か絶滅危惧種に指定された数種類の動物たちの最後の楽園としても知られています。
ここタスマニアの大自
然を楽しむ一番良い方法は、ウォーキングです。
たくさんのトレイルがあり、宿泊のための山小屋も設けられています。


Shark Bay in Western Australia 〜西オーストラリア州のシャーク湾〜

1991年に世界遺産に登録されたシャーク湾は、南北に伸びる半島と島によって入り江や湾がそれぞれ独立し、さらにインド洋からも隔てられるように連なっています。

この地域に生息する植物の特徴は、生育域の限界点にある種が多いという事です。例えば、145種の植物の北限であり、39種の南限となっています。またこの地域に固有な植物や、新種と見られる植物が少なくとも28種確認されています。

シャーク湾の水質はとてもユニークで、浅瀬や隆起によって海流が制限された結果、湾の南部の塩分濃度が高くなっており、この高濃度の塩分が世界最古の生物と言われるストロマトライトの生育に適した環境になっています。

また、半島や島々という隔離された生息環境により、他の場所のような障害のない状態で生き物が生息できることから海洋生物・動物の宝庫として有名で、イルカとほぼ同じ大きさの草食性哺乳類であるジュゴンは、およそ1万頭がここに生息しています。また、ザトウクジラは沿岸を移動する際にこの湾に立寄ります。アオウミガメやアカウミガメはこの湾がほぼ南限の生息域で、ダーク・ハートッグ島やペロン半島の浜で産卵します。モンキー・マイアでは人懐こいイルカたちが海岸にやって来ます。


Parnululu National Park 〜パヌルル国立公園〜

西オーストラリア州東部のキンバリー地区にあるパヌルル国立公園は、2003年に世界遺産に登録されました。
ここには深い侵食によって形成された、並外れて美しい自然で世界にその名を知られるようになった、バングル・バングルという蜂の巣状の塔や円錐型をした奇岩群からなる一帯があります。
この奇岩群はデボン紀の石英質砂岩が2,000万年の時をかけて風化したのもで、切り立った岩肌にはシアノバクテリア(単細胞の光合成生物)により固くなった表面が灰褐色になってできた横縞模様がくっきりと規則的に現れています。

ここは、間違えなく世界で最も見事な砂岩質の円錐カルストであり、その成り立ちとユニークさは、地質、生命活動、風化、気象の各現象の間に起きた度重なる相互作用の産物です。パヌルル国立公園の砂岩カルストは、砂岩に円錐カルストが形成される過程を明確に示している点で、科学的にも重要な意味を持っています。

観光シーズンは、乾期の4月〜12月31日の間のみ(天候により閉鎖)です。それ以外の雨期の時期は国立公園への入場が禁止され、ここにアクセスする道路は通行不能になります。雨期には飛行機による遊覧を利用して下さい。


Australian Fossil Mammal Sites, Riversleigh, QLD and Naracoorte,SA 
〜オーストラリアの哺乳類化石地域 リバースレー、クイーンズランド州、およびならコート、南オーストラリア州〜

1994年に世界遺産に登録されたオーストラリアの哺乳類化石地域は2,000kmも離れた2つの場所にあります。リバースレーは10,000ヘクタールの広さで、クイーンズランド州北西部、グレゴリー川流域にあります。
ナラコートの化石地域は300ヘクタールの広さで南オーストラリア州の平坦な土地にありますが、行き場を失った海岸砂丘が幾筋も連なって現在の海岸線と平行に走っている様子が特徴です。

2つの化石地域はそれぞれ独立して世界で最も隔離された大陸における動物の重要な進化の過程を見ることができます。近代オーストラリアの哺乳類の系統史はこれらの化石の堆積から明らかになり、生きた哺乳類やその生息環境の保全状況についても詳しく知る事ができるようになりました。

現在、リバースレー化石地域への一般立ち入りは禁止されていますが、隣接する場所に小さな展示施設があります。
ナラコートへはバスか車で行く事ができ、洞窟ツアーが用意されています



Macquarie Island 〜マッコーリー島〜

マッコーリー島は、タスマニア島の離島でタスマニアの南東にある全長37km、幅は最大5.5kmの島です。
この島は、海底が隆起して出来上がった島で、地球上層部のマントルがほぼそのままの形で残っている唯一の島でもあり、地球の地殻の主要なプレートのうちの2つが接する地帯に位置しています。

インドプレートと太平洋プレートの2つが、およそ1,000万年前に互いに押し合いを始めた頃、地殻の一部が2.5 kmほど隆起し、海面上に押し出されました。

この島は今もなお、1年に105mmから4.5mmの割合で隆起し続けており地質学的変化が今もなお起きています。そしてこの地質学的変化と地殻変動の歴史こそが、マッコーリー島が世界遺産に選ばれた理由の1つです。

岩だらけの島は野生動物たちの壮大な楽園でもあり、10万頭の象アザラシや数百万羽におよぶペンギンの住処となっています。
マッコーリー島自然保護区は立ち入り制限区域となっており、旅行者が島に上陸する事は出来ませんが、タスマニアの州都ホバートからクルーズで島に立寄るツアーは催行されています。


Heard and McDonald Islands 〜ハード島とマクドナルド諸島〜

亜南極気候に属するハード島とマクドナルド諸島は、パースから南西に向かって4,100kmの所に位置する島々です。
これらの島々の持つ「自然遺産」としての価値が評価され、気象変化と海洋の島形成の見本であるという点で、世界遺産登録基準の2つを満たし、1997年12月に世界遺産に登録されました。

ハード島とマクドナルド諸島は、外的影響を受けない環境下で、生態学的・生物学的に重要な進化(特にコロニー化と種分化)が過去から現在まで起こり続けている群島の 中でも特に傑出しています。またこの島々は、地球上で最も自然の驚異に満ちた場所であるといっても過言ではありません。

ハリケーン並みの強風、土砂降りの雨、けた外れの量の降雪、厚い雲や霧といった自然の力が、その地形と相まってありのままの自然の美を生み出しています。また、ここには土地開発の計画はなく、オーストラリア政府の方針により島々は本来の野生の姿のまま維持されています。


Royal Exhibition Building and Carlton Gardens, Victoria
 〜ロイヤル・エキシビジョン・ビルおよびカールトン庭園〜

メルボルンにあるロイヤル・エキシビジョン・ビルおよびカールトン庭園は、世界で最も古い展示場の1つに数えられ19世紀に盛り上がりを見せた万国博覧会ブームを象徴しています。また、オーストラリアで世界遺産に登録された最初の建造物です。

このビルは、1880年のメルボルン万国博覧会のため、同年にカールトン庭園の中に建てられました。後のメルボルンでの1888年の2回目の博覧会の入植100周年記念万国博覧会の開催場所ともなりました。現在では、サウスガーデンは公園・展示施設として、ノースガーデンはメルボルン美術館となっています。

ビルには、丸天井、大広間、巨大な玄関門、多目的な展示スペース、軸構成、付属の庭園と眺望スペースなど万国博覧会をドラマティックかつ効果的に演出するための多くの工夫が凝らされています。

世界中で万博の為に作られた、建造物が展示場として設計・建設されたにもかかわらず、今なお残っているものはごく僅かです。さらに当時の場所や状態のまま残されているものはほとんど無いため、ロイヤル・エキシビジョン・ビルは世界でも稀な例といえ、貴重な建造物です。